Danを知ってから長い。ボクらが2回目の北米ツアーをした時だったから、かれこれ7年の付き合いになる。ボクらはトロントでかの有名な、ボクにとってはほとんど伝説の、トロントのEL'Mocamboでやる事になっており、彼はそこの(やはり有名な、場合によっては悪名高い)ブッキングマネージャーだったのだ。何故その時点でエルモでズボンズがやれたのか、その頃英語がサッパリ理解できてなかったボクには知る由もない。しかし、そのライブは、ツアー中でズバ抜けてもっとも熱いライブとなり、終演後Danはボクに抱きついてきて、"F**kin' Great!!"を連発し、しまいには"F**K!!F**K!!"とホメてるのか、ケナされてるのかわからなくなるくらいであった。Danはボクにテキーラの飲み方を伝授し(テーブルにパコンッと叩き付けるやるあの飲み方)、お店に飾ってあったKeith Richardsの写真をコッソリと渡してくれた。(あとで店の女の子に叱られていた)それ以来、Danは常にどんなバンドに対しても「オレが世界一好きなバンドは日本のズボンズ」と触れ回ってくれた。そのおかげで、ボクらも色々な人から「あー、キミら�Danがうるさく言ってたズボンズか」と言われるハメになってしまう位だった。その後もDanは良い話があると必ずズボンズに持ってきてくれたし、今でもそうだ。ボクはDanを「カナダの親父」と呼び、Danは「オレの息子」と言う。
今年、ズボンズはカナダで大きな成功を収める事ができたが、それは(もちろん)Danの手腕による所が大きい。ボクは本当に感謝している。Danは我々にRock'n'Rollにとって必要な多くの事を教えてくれ、時にそれはいささかtoo muchになってしまう事もあるとはいえ、結局はものすごく良い経験だったと思える事ばかりだ。
ある時、ツアーの終盤でボクはひどく疲れていた。疲労も溜まり、明らかに睡眠不足で、しかも車酔いしていた。ツアー中はそんな日が必ずくるものである。そのような日は、いくらコチラが頑張りたくても、力振り絞りたくても一滴も何も出てこない、そんなときだってあるのだ。そんな日にたまたま見にきてたお客さんには申し訳ないと思うけれど。その日はそんな日だった。そんなボクを知って、オレ達がステージで音を出し始めた瞬間からDanは猛烈に踊り始めた。「DON、オレの息子、オレの踊りを見てみろ!お前の音楽でこんなに踊れるんだぞ」と叫ばんばかりのダンスに、ボクはもうやるしかなかった。終わってみると、本当に最高のショウになっていた。Danは踊って、もう空と思われたボクのエネルギーのタンクから更に溢れんばかりのエネルギーを引き出してくれた。Danはいつもボクを助けてくれる。
ステ−ジの前、Danは必ずこう言う。「お前達、ズボンズ。世界最強のロックバンド。お前らが出す音はどんなものでも全て最高。ガタガタ言わず、ステージで楽しんでこい!」
日本にいる時もボクらは時々Danにそこにいてもらう事にしている。Danのあのセリフを思い出してチャージする必要が、ある時もあるのだ。
実は訳あってDanは家をもたない。本人は「オレはジプシーだから問題ない」と言っている。そして、いつでもどんな時でもエネルギーが一杯だ。そして一緒にいる時はいつもズボンズにとって最善を尽くしてくれる。ボクは100%Danを信頼している。だからDanの前では絶対に最高のショウをやろう、と思う。ジプシーのDan。ボクの親父で、ボクらはファミリーだ。
今日、12月8日はDanの誕生日なんだ。ボクはDanに手紙を書こう。そうだ、みんなもDanに何か送ってくれないかな?メールでかまわないから。例えば、こんな一行でもかまわない。
"Happy Birthday,Dan from the ZOOBOMBS' fan in Japan"
もしみんながDanにメッセージを送ってくれるのなら、ボクはすごく嬉しい。すごく感謝します。彼のアドレスは、
rockscars@yahoo.ca
です。
「オレはRock Starじゃない。Rock Scar(傷跡)なんだ。いつでも身も心も傷だらけのボロボロだよ。でもな、DON、オレは負けないんだ。このDan Burke様は何度倒されても立ち上がるよ。なぁ、DON、オレの息子、世の中って酷い事ばかりだよ。でもそれに立ち向かっていかなきゃならないさ、オレやお前みたいな人間は、ね。」
ボクらは闘う必要があるのかな?でもさ、ボクはDanがいてくれる事で心底本当に助かっているんだよ。それって本当に大事な事なんだ。